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iii)社会的責任ある企業としてのイメージを低める国際的実績

テムズが国際的な契約を獲得したケースでも、その業績はぱっとしない(後述の『ニュース』参照)。オーストラリアではアデレードの下水処理場で異臭を発生させ、マレーシアでもクランタンからの撤収を余儀なくされ、インドネシアではジャカルタの契約で疑惑に包まれるなど、各プロジェクトで大きな問題を抱えている。他方、チリや中国などではある程度の実績をあげている。情報と活動がただちに世界中に伝播する時代には、ある地域で経済的、社会的問題、環境面での問題を発生させると、世界的な評価が落ちて他地域での事業にマイナスの影響が及びかねない。米国での問題はその顕著な例になるおそれがある(後述を参照)。

こうした点を自覚したことが、京都での第3回世界水フォーラムなどでみられたテムズの新しい戦略の背景にあるのかもしれない。つまり、自社を良心をもった多国籍水企業と位置づけ、とくに貧困層対策で公的部門のもつ重要な役割を認める。批判の強い民営化は避ける方針をとる。テムズの関与形態については、コンセッション契約であれコンサルティング契約であれ、まったくこだわらない、といった点を打ち出している。また水道事業への民間参加を、国際金融機関や資金提供機関による融資や拠出金の条件にすることに反対するとも述べている。2002年には、「企業の社会的責任担当役員」(CSR)を任命し、「企業の社会的責任にもっとも熱心な会社になる」との意欲を示した。テムズの世界メディア対策担当役員のキャシー・リトルは、次のように述べたとされる。「企業の社会的責任への取り組みこそ、わが社の独自性だと信じており、もっとも力を入れています」

iv)民営化への反発で危ぶまれる米国進出

最近の米国進出は、当地での民営化ペースが加速すれば大きな成長機会になる。RWEテムズは、顧客基盤を10年で現在の2倍の15,000万人に増やしたいと考えているが、その中心になるのが米国での事業拡大である。だが民営化の動きにストップがかかると(そうした動きがある)、RWEの米国子会社買収は過剰投資だったことになるかもしれない。RWEによるアメリカン・ウォーターワークス(AWW)の買収価格は、市場株価を37%上回っていた。テムズ・ウォーターの場合は、40%上回っていた。RWEは、AWWへの投資は2006年には回収できると述べていたが、買収価格が高すぎたためにむずかしくなった。AWWが米国市場で大幅な事業拡大を達成できなければ、過剰投資を補うためのコスト削減への圧力が高まり、RWEグループの他の事業、とくに水道事業にも悪影響が及ぶ可能性がある。それは最終的には失業につながる。

RWEテムズにとって最大の問題は、米国の上下水道システムの多くがいまだに自治体所有になっていて、米国でよくある地元市民の強烈な反発を浴びる可能性があることだ。最近では、地元市民はインターネットや圧力団体や労働組合から情報を得ている。市民グループが次のような問題があることを理解すれば、事業拡大が壁に突き当たる可能性がある。

RWEテムズの国際事業が抱える環境や失業などの諸問題

・テムズの英国内での環境面での実績や、漏水率の高さ(これについては米国の強力なNGO、パブリック・シチズンが指摘している)

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